9月11日(土)タイムセミナー “アフガニスタンの今~9.11から20年~”

20年前の9月11日はまさに米国同時多発テロが起きた日です。

今年8月末、米軍の撤退によりタリバンが勢力を急速に増し、事実上全土を掌握しました。セミナーでは3人のパネリストの話を元に女性の活動も含めたアフガニスタンが直面する課題を考えました。

1.キップケイツさん

(鳥取大学名誉教授、グローバル教育、異文化理解、国際交流専門)

クイズも含めて同時多発テロとアフガニスタンに関しての理解を深める。例えば、

Q1.2001年9月11日の米国同時多発テロの実行犯の出身国は?

答え.17人中アフガニスタン人は0人、15人がサウジアラビア人etcなど。

 

2.中尾和則さん(シルクロード15,000㎞横断、これまで80ヵ国訪問。2003年アフガニスタン難民キャンプ訪問。現地の人とふれあいを大事にしている。地球人クラブ代表)

国境の街

少年兵

国境の街で仲良くなった男性たち

持参したブルカを着てもらう

中尾さんはタリバンが標榜するイスラム原理主義とは何かについて話をされました。

コーランは7世紀にムハンマドが話したことが記されたものである。西洋社会、現代では宗教は“心のあり様”を問うものであるとしているが、イスラムでは生活全てがイスラムである。

例えば、今思えば7世紀当時は非常に先進的なことが書かれており、

「財産分けは、女性は男性の半分を受け取る」との規定は民法であり、「人の手を切ったら罪を犯した者の手も切る」というのは刑法、「お金持ちは貧しい人に施さねばならないとは福祉関係、「男女は共学は許されない」は教育基本法とも言える。すなわち、イスラム今日は心のあり方だけでなく生活全般に及ぶ。

1300年の間大きく変化した現代でも7世紀に書かれたコーランをそのまま実行している、それが原理主義のタリバンである。

1996年に政権を取った時、偶像破壊、映画館、酒販売店、レストランなど全て破壊した。アフガニスタンという“国”は日本やアメリカなどの長く続く1つの国という概念では捉えられない。英国、ロシア、タリバン、アメリカ、ISなど様々な国が侵略し、様々な勢力が出入りをし、歴史が流れてきている。アフガニスタンという国は単純なものではない。

今後タリバンが安定政権を作るのか、ISなどが反乱を起こして不安定になる可能性もある。注視し、出来る支援をしていかなくてはいけない。

3.山口敦史さん

(ペシャワール会の駐在員、アフガニスタンで農業用水路建設等に関わる。現在は、岡山県美作で農業を営む。)

 

水路が出来て水遊び

食糧を収穫

アフガンのジャララバードで用水路をつくると農地が回復でき、国内難民になっていた人が子どもも手伝い「食べ物を作れる」喜びを再実感し帰ってきた。

イナカではコメの支援を受けたガニ大統領の政権は汚職が横行し、人気がない。20年間で行った日本1兆円、米国20兆円の支援は住民に届かない。

アフガンの人は思いやりがあり、貧しくても客人を出来る最大限でもてなす。アフガニスタン滞在の2年間、女性には会えない。結婚式も全て男女別。日本に一時帰国した時、街なかを女性があちこち歩いていてドキドキした。とにかくアフガニスタンの男性は家族、地域を大切にする。

元武装勢力戦闘員のおじさん 貧しくても心からもてなしてくれた

アフガニスタンの男性は花が好き 蚊の退治用の女中菊栽培

4.絵画、本の展示

日本の子どもたちがアメリカの子どもたちへ描いた絵

日本の子どもたちがアメリカの子どもたちへ描いた絵

2001年9月11日のテロ後、日本の子どもたちがアメリカの子どもたちを励まそうと絵を描き送ると、ニューヨークで展覧会が開かれた。また、アメリカの子どもがアフガニスタンに文具を送り、アフガニスタンの子どもたちが絵を描き展示をするという良い励ましあいの交流がありました。20年を経て再び絵がセミナー会場で展示されました。

アフガニスタンの子どもたち

アフガニスタンの子が送られた文具で描いた絵

アフガニスタンの子の絵の展示